先日クリーク関係の装備についてアップしたが、実際どう使うかってことが何より重要。
ということで、倍力システムについて。
例えばボートがピンニングしたり、ブローチングしたと仮定してのシステム。
2倍力。(左上の人工物がアンカー)
プーリー(滑車)をボートにかけることにより滑車部分が動滑車の役割を果たすため、右上方向にロープを引けば、2倍の力で引ける。
直感的に作りやすいが、ロープとアンカーまでの距離も倍必要なため、長くても25mしかないスローロープでは、あまり出番がないかも。2倍だし・・・
ちなみにボートを積む時に使用しているタイダウンも2倍力である。
3倍力。

川用語ではZドラグと呼ばれているのかな?3倍力のシステム。
アンカー部分のカラビナ箇所でロープを折り返して、さらにプルージックにより接合した部分に滑車(カラビナ)をつける。
2倍力のようにロープ長をくわない上、1人で3人分の力が出せるのでレスキューシステムで多様されることが多い。
ちなみに2倍力でもそうなのだが、滑車を使用するのは摩擦ロスをなくすためであって、最悪カラビナだけでもいけないことはない。(すごーい摩擦がかかるのは引いてみれば分かります)
と、ここまでの話はあくまで基本の「き」。
川でなにが難しいかというと、とにかくアンカーが見つからないこと。山で使うように木があることは希であるし、当然電柱のような人工物もない。
基本的に使えるものは岩だけ!!!と考えた方がいい。
そこで、なんとか岩にアンカーを作らないといけないのだがこれが難しい。
山の救助だと。「石八」のような岩をぐるぐる巻きにするようなアンカー作成をしたりするが、最低限の装備しか持っていない川下りだとそうもいかない。
石八岩との摩擦による切断の危険は常にあるが、最悪スローロ―プで岩を一周しただけのアンカーを使うことも考えなければならない。

長瀞のエディにある一辺2.5mほどの岩だが、これを一周するにしても当然10m程度のロープが必要。
最近、2.4mの細いダイニーマのスリングをライジャケに入れるようにしているが、これがあると、周囲4.8mまでの岩なら極短時間でアンカー構築が出来る。

2.4mスリング
2.4mスリングでのアンカー構築+3倍力システム。仕事柄いつも思うのだが、
「いつもレスキューのことを考えている奴」が現場で一番使える。
逆に一番使えないのは、ずいぶん前にやったことはありますっていう人。
川でも下見の際に、アンカーを探す癖をつけると、何かあったときにスムーズにいくはずだし応用がきくと思うので、最近はいつもそうしている。
ちょっとしたボートの上げ下ろしでも、面倒くさがらずシステムを組んだり、滑車を使ったりすると何気ない訓練となったりする。

「ロープを投げること」一つとってもどう投げるかっていう基本が普段頭の片隅にないと、うまくいかなかったりする。
だから最近はクリーク開始前の一投は欠かさないようにしている。ちょっと意識が変わってきたかな。